代表部の仕事:国連欧州本部における日本の広報文化活動

令和7年3月17日
国連欧州本部における広報文化活動
 
吉次 慶 二等書記官
 
(本稿は執筆者の個人的見解を示すものであり、日本政府の見解を示すものではありません。)

はじめに
 
国連欧州本部における広報文化活動と聞いて何を思い浮かべますでしょうか?
あまり知られていないと思いますが、国連欧州本部には文化イベントを担当する部署があり、日頃様々なイベントを開催しています。
 
国連欧州本部における文化イベント
 当代表部は国連欧州本部が主催する文化イベントに積極的に参加しています。例えば、様々な分野で活躍する女性をテーマにした写真展覧会である「Not a Woman’s Job?」シリーズがあげられます。昨年の展覧会では、日本車いすラグビー連盟(JWRF)の協力のもと、車いすラグビー日本代表である倉橋香衣選手の写真を展示しました。展覧会の後、昨年パリで開催されたオリンピック・パラリンピックの際には、フランス外務省の協力もあり、その写真がパリ市内で展示され、多くの人々に日本選手の存在を知ってもらうきっかけになりました。 
なお、車いすラグビー日本代表は見事初の金メダルを獲得し、世界を舞台に活躍する日本選手の活躍を印象づけることになり、国連欧州本部や各国代表部の関係者からも祝福の言葉を頂きました。
 

(パリでの様子)

 また、国連欧州本部では、UNWG(国連ウィメンズ・ギルド)が主催する国連バザー(通称)が毎年開催されており、約70カ国の代表部がブースにて自国の食べ物やグッズを販売しています。当代表部も毎年参加し、お弁当やスイーツを販売しながら、日本文化を感じてもらう機会を設けています。ブースに来た方々からは、「日本食が好きで最近日本に行ったが、寿司のおいしさに感動した。」「寿司も好きだが、最近、もちにはまっている。(当代表部注:最近、ジュネーブや仏領のスーパーマーケットでは雪見大福に似たアイスが販売されています。)」「子どもが日本のアニメ、マンガが好きなことをきっかけに日本食に興味を持った。」といった様々な声があり、日本への関心が年々高まっていることを実感しています。 
 

(国連バザーの様子)
 
国連欧州本部における広報文化活動
 一般的に対日理解を促進する活動は「広報文化外交(パブリック・ディプロマシー)」と呼ばれており、外国の国民・世論に直接的に働きかけ、自国のイメージアップを図ることを目的としています。簡単に言えばより多くの日本ファン=支持者を獲得するための取組です。 
 国連欧州本部における広報文化活動は外国の国民・世論というよりも、国際機関や外国政府の関係者を対象にしたものであり、いわゆる同業者に日本をより知ってもらうための活動と言えます。私は日本への理解者=支持者を少しでも増やすことで、日本の声が国際社会に届き、聞いてもらうことに繋がると考えています。 
 外務省採用パンフレットにも書かれていますが、「人と人」の関係を築いていくことが外交の土台です。私はこの考えをもとに国連欧州本部主催の文化イベントに積極的に顔を出すのはもちろんのこと、可能な限り頻繁に関係者と会うことを心がけています。これは、ジュネーブにおいて数多くの各国代表部や国際機関が存在する中、日本の存在を常にインプットするための取組です。 
 

(文化イベントの様子)
 
 ジュネーブは「国際ジュネーブ」(International Geneva)と呼ばれるほど、多数の国際機関等が置かれており、国際色豊かな街です。様々な国籍や背景を持った方々がいるジュネーブにおいて、私は日本のことをより多くの方々に知ってもらい、日本への理解者が少しでも増えることを切に願いながら地道に活動をしています。 
 

(文化イベントの様子)
 
●当代表部の活動をXにて日々更新中ですので、是非ともご覧ください。 
https://x.com/JapanMissionGE 
●以下サイトからUNOGにおける文化イベントの開催スケジュールを確認頂けます。 
https://www.ungeneva.org/en/meetings-events/events/cultural-activities