第114回ILO総会 本会議政府代表演説(長坂厚生労働副大臣)(2026年6月9日)
令和8年6月9日
第114 回ILO 総会 政府代表演説
議長、事務局長、各国政労使の代表団の皆様、ありがとうございます。日本政府を代表して発言することを光栄に存じます。
事務局長におかれては、時宜を得た意欲的なAI と雇用に関する報告書をまとめていただき、誠にありがとうございます。
ILO は過去100 年以上にわたり、時代ごとの課題に対応し、労働者の権利を守るべく取組を進めてきました。日本としても、ILO設立時からの加盟国として、長きにわたる理事国として、ILO の価値観を共有し、国際労働基準と開発協力の両面から、ILOの活動に積極的に貢献してきました。
日本は、本年4月1日、事務局長ご臨席のもと、ILO基本条約の1つである第155 号条約 「職業上の安全及び健康並びに作業環境に関する条約」の批准書をILOに寄託しました。国内における労働災害の一層の防止と国際的な労働安全衛生規範の普及に努めてまいります。
また、日本はアジア・太平洋地域における最大の任意拠出国として、50 年以上にわたり、アジアの国々を中心に、その国の実態やニーズに合わせ、労働安全衛生水準の向上や社会保険制度整備、サプライチェーンの労働環境改善などの様々な開発協力を行ってきました。
このほか、事務局長が主導する「社会正義連合」の趣旨に賛同し、調整グループの一員として積極的に貢献してきました。日本として、引き続き、人的貢献を含め、協力してまいります。
これらの取組により、日本がILOを通じてディーセント・ワークの実現に貢献できていることを非常に光栄に思います。
ILOは厳しい財政状況に直面していますが、日本としてILOの取組に貢献していくという姿勢は揺るぎないものです。日本は、今年の分担金も5月に全額支払ったところであり、ILOの中核的マンデートの実現に焦点を当てながら効率的な組織を目指す、というILO改革を支持し、事務局長の改革努力を支えてまいります。
事務局長の報告書にあるとおり、AIをはじめとしたデジタル技術の進展により、将来にわたり、労働環境は大きく変化します。AI への人間中心のアプローチによりディーセント・ワークを確保するという課題認識に、日本は共鳴いたします。
日本では、AIを積極的に活用し、AI の透明性・公平性・安全性を確保するため、2025 年6月、AIに関する基本法を制定し、内閣総理大臣をトップに全省庁が参画してAI の開発・活用を促進していく体制を構築しました。また、官民を挙げて、AIに関する総合的な取組を推進するため、2025 年12 月、国家戦略として、AIに関する基本計画を閣議決定しました。
労働分野においては、労働者に対するAIリ・スキリングの支援や公的職業紹介を行うハローワークにおけるAIの活用等に取り組んでいるほか、G7においては、AIのスキル向上に向けた各国の取組に関する情報共有が議論されており、引き続き連携してまいります。
AI等のデジタル技術の急速な進展に対応し、一人一人がその能力を最大限発揮して活躍できる社会を目指し、労使との連携の下、更なる取組を推進し、我々の経験を国際社会と共有してまいります。
AIをはじめとする技術革新により、労働のあり方は大きな転換点を迎えています。国際社会はこうした変化に柔軟に対応し、全ての労働者が技術の恩恵を享受し、ディーセント・ワークを確保することにより、健全に発展していくことが必要です。
こうした認識を世界と共にして、日本は、労使をはじめとする社会的パートナーとの対話を大切にしながら、仕事の世界における永続的な課題に取り組むためのあらゆる努力を行ってまいります。
ご清聴ありがとうございました。