第112回ILO総会 本会議政府代表演説(宮﨑厚生労働省副大臣)(2024年6月10日)

令和6年7月18日

第112回ILO総会 本会議
(The Plenary of the International Labour Conference, 112th Session, 2024)
政府代表演説

 
1.はじめに
○ 議長、事務局長、各国政労使の代表団の皆様、ありがとうございます。私は、厚生労働副大臣の宮﨑 政久です。日本政府を代表して発言することを光栄に存じます。
 
○ 事務局長におかれては、包括的かつ意欲的な報告書をまとめていただき、誠にありがとうございます。日本としては、事務局長が進める「社会正義のためのグローバル連合」構想に参加を表明するとともに、調整グループの役割も引き受けており、本構想が具体的成果を上げられるよう、取り組みを支援してまいります。


2.ILOへの日本の貢献
○ 報告書の中でも触れられていますが、ILOは過去100年以上にわたり、労働者の権利を守るべく取組を進めてきました。日本としても、ILO設立時からの加盟国で、長きにわたり理事国としてILOの運営に大きな責任を負っており、ILOの価値観を共有し、加盟国中第3位の分担金負担国として、これまでILOの活動に積極的に貢献してきました。
 
○ 特にアジア・太平洋地域は最も多くの労働者が働く重要な地域であり、その中で、日本がILOを通じてディーセント・ワークの実現に貢献出来ていることを非常に光栄に思います。報告書にもあるように、技術の進歩や人口動態の変化など、時代の変化に合わせて求められる取組も変わりますが、日本としても、引き続き、ILOと緊密に連携して、努力していきます。
 

3.急速な少子高齢化が進展する中での日本の取組
○ さて、ご案内の通り、日本においては、急速な少子高齢化が進んで人口の約30%が65歳以上となっており、先ほど触れた「人口動態の変化」の影響を強く受けています。
 
○ こうした中で、人口減少社会における労働力確保の観点からも、年齢、性別、その他の要因にかかわらず、様々な属性の人材が意欲と能力に応じて活躍できるようにすることが重要だと考えており、様々な取組を進めています。
 
○ 例えば、高齢者が年齢にかかわらず働くことができる環境を整備するために、企業に対し、65歳までの雇用機会を確保する制度を導入する義務や、70歳までの就業機会を確保する制度を導入する努力義務を定めています。
 
○ 更に、人口減少の流れに歯止めをかけるべく、こども・子育て政策の強化を進めています。
労働・雇用の観点からは、男女ともに仕事と育児の両立ができるよう、長時間労働の是正、男性の育児休業取得促進、育児期を通じた柔軟な働き方の推進といった取組を進めています。
また、教育訓練を行う労働者への支援の強化などによる若い世代の所得を向上させるための取組を実行しています。
 
○ 働くことは幸せです。私たちは、高齢者が若者と同じように望む仕事に就ける社会を作ります。
同時に、人口減少に立ち向かう政策を、働く分野でも進めています。日本は少子高齢化が世界で最も早く進んでいる国の一つとして、私たちの経験を、これからも世界各国に伝えます。
日本で成功した経験も、うまくいかなかった経験も、あなた方の国での政策に活用してください。

 
4.おわりに
○ 日本は、国内においては労働者、労働者団体、そして使用者団体との対話を大切にし、世界に目を転じれば、各国との協議、対話によって相互理解を深める努力を惜しみません。
 
○ そして、私は、日本政府を代表して、日本がILOの掲げる仕事の世界におけるあらゆる課題の解決にリーダーシップを持って取り組むことを誓います。
 
○ ご清聴ありがとうございました。