「新型コロナウイルスと仕事の世界 ILOグローバルサミット」 加藤厚生労働大臣ステートメント(2020年7月9日)
「新型コロナウイルスと仕事の世界 ILO グローバルサミット」
加藤厚生労働大臣 発言
2020年7月9日
ガイ・ライダー事務局長、同僚の皆様。アジア太平洋地域より、私から発言させていただきます。昨年、ILOは創設100周年の節目を迎えたところですが、新たな一世紀の幕開けに、この極めて大きな危機が生じました。こうした危機への対応の中で、100周年宣言に掲げた「仕事の未来」をどう実現するか、私たちの力が問われています。
現時点では、アジア太平洋地域の多くの国で感染者数や死者数はある程度抑えられていますが、社会経済活動を厳しく制限した結果、失業や貧困の増加を招きました。最新のILOモニタリングによれば、全世界でフルタイム換算で4億人分の雇用が失われましたが、そのうち約6割はアジア太平洋地域が占めるなど、地域の雇用への影響は深刻です。
日本においても、新型コロナウイルス感染症による雇用・経済への影響は、厳しい状況にあります。特に、雇用への影響は感染の状況よりも遅れて見えてくるため、足下の状況だけでなく、今後の推移もよく見極めた上で、万全の対策を取る必要があると考えています。こうした状況を踏まえ、日本では、現在、雇用と事業活動、生活を守り抜いていくために、政府を挙げてあらゆる手段を講じています。まず、事業活動の縮小を余儀なくされる中にあっても、従業員に手当を支給しつつ、一時的な休業や勤務時間の短縮等で対応する事業主への助成を拡充することで、雇用の維持に努めています。また、売上の急減などに直面する事業主に対して、家賃支援を始めとした資金給付を行うことで、事業活動の継続を図っています。
経済や雇用環境の悪化は、いわゆる社会的弱者と呼ばれる方々に特に大きな影響を及ぼします。日本では、感染リスクに不安を持つ妊娠中の女性労働者や、学校の臨時休業に伴い子どもの世話が必要な労働者が、生活に不安を持たずに休めるよう、有給で休暇を取得させた事業主への助成措置なども新たに実施しています。加えて、民間団体やソーシャル・ワーカーなど、支援の最前線に立たれる方々のご意見を伺い、ひとり親世帯や障害を持つ方、非正規雇用で働く方や生活に困窮される方々への支援の拡充に取り組んでいます。
中長期的な視点に立てば、今回の危機は、持続可能な仕事の未来を作る機会であると捉えることもできます。例えば、日本では、感染拡大を防ぐために、政府の呼びかけを機に、官民の事業所において急速にテレワークが広がりました。こうした新たな働き方について、指摘されている課題の解消も図りながら、労働者がより働きやすく、能力を発揮できる環境を作り上げていきたいと考えています。
ILOには、この危機を乗り越え、またその先も見据え、「仕事の未来」を築いていくために、今後も、開発協力などの取組を力強く進めることと、国民の理解に基づき協同して進めていくためにも、社会対話を積極的に促進することを求めます。日本としても、ILOの活動において主導的な立場を担う用意があります。政労使の皆様、知恵と経験を結集し、この難局を乗り切り、より良い仕事の未来を築いていきましょう。
ありがとうございました。
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詳細は厚生労働省のこちらの記事をご参照ください。
英語版のステートメントはこちらです。