ジュネーブの国際機関で活躍する日本人職員(Gaviワクチンアライアンス・北島千佳さん)

令和元年9月26日

【Gaviワクチンアライアンス 北島千佳さん】

 

Q 現在,北島さんが担われている業務について教えてください。

 
 GAVIワクチンアライアンスで上級資金調達官として働いています。Gaviは,最貧国の子供達に小児ワクチンを届けることによって,子供達を感染症から守ることを使命にしています。私は具体的には,Gaviの活動資金の調達と,政府,財団,NGO,民間とのパートナーシップをマネジメントしていく仕事をしています。

 

Q 国際機関で働く魅力について教えてください。

 
 国際機関では,新しいフレームワークを作っていく仕事をすることができるのが大きな魅力です。
 加えて,Gaviには57カ国からの職員がいますが,そうした多文化の中でいろんな人達と共に仕事ができるのも魅力です。多文化な環境下で仕事をすることはチャレンジングではありますが,ダイナミックな発想が出てくることもあり,とても楽しいです。

(TICAD7準備会合にて、エスティファノス駐日エリトリア大使と共に)



Q 国際機関の職員になろうと思った「きっかけ」について教えてください。 

 
 国際機関職員を目指すことになった「きっかけ」は私の場合は複合的で,何が直接的な「きっかけ」になったのかと問われると答えるのが難しいのですが,一つには,大学1年生の時にフィリピンにスタディツアーに行き,そこで学校に通うことができない子供達の問題や貧困の問題を目の当たりにしたということがあります。その後,大学院で勉強している際に,世界で起きている問題について構造的に勉強したということも影響しています。こういった複合的な体験や経験から,国際機関を目指すようになりました。

Q 具体的に,どのようにして北島さんは国際機関の職員になられましたか。

 
 私の場合,まず修士号が必要ということを自覚しましたので,アメリカの大学院に留学し国際開発学の修士号を取得しました。そこで,たまたま,日本にある国際機関で人を探しているということを知り,これに応募し採用されました。そこで働いている途中で,JPOに応募し合格しました。
 国際機関に入ってからは,日々自分のスキルを上げることを意識し,ステップアップができるよう様々なポストへのアプライを行ってポストを獲得し,キャリアを作ってきました。

 Q 国際機関の職員に必要なことや,北島さんが国際機関で働く上で心がけていることについて教えてください。

 
 国際機関で働こうと考えた場合には,まず自分が目指そうとしているポストにはどのようなスペックが求められているのかについて知ることが必要です。例えば,自分が目指すポストには,学位は何が求められているのか,言語は英語に加えてどの言語ができることが必要なのか,現場の経験を何年間積んでいることが求められているのか等々,それぞれポスト毎に必要となる経験や技能は決まっていますので,自分が目指すポストに求められるスペックを把握して,これを身につけていくための道筋を考えていくことが重要となります。
 その上で,私からは国際機関に入った後で重要となってくることについても,お伝えしたいと思います。私が国際機関で働く中で常々意識しているのは,自分のキャリアの要所要所で,自分は「なぜこの道に入ったのか。」ということについて自問自答をするということです。例えば,私は今ジュネーブで働いていますが,ジュネーブのような都市で仕事をしていると途上国のリアリティとは遠く離れた環境ですので,「自分はなぜここにいるのか。」ということを見失ってしまいそうになることもありました。そのため,私は常に「自分がなぜ国際機関を目指して,何のために国際機関で働いているのか。」ということについて,自分の中で問い直す作業をすることを心がけています。  

(日本の大学におけるGaviセミナーにて)



Q これから国際機関を目指す方々にメッセージをお願いします。

 
 国際機関で働く上で,情熱はやはり重要です。情熱があってこそやりたいことができます。
 その上で,これから国際機関を目指す方に伝えたいのは,人生は長いので国際機関に入ることだけを目的にしてしまうと,それだけでは弱いということです。自分がどういう体験をして,どのように思ったので,国際機関を目指したのかということについて,自分自身の原体験を常に振り返り自分の最初の思いを大切にしていくことが重要です。難しいことでなくて構いません。例えば,困難な状況下にある幼い子供達を救いたい,貧しい人に出会って貧困の問題を解決したいと思ったとか,自分が国際的な分野で働きたいと思ったモチベーションは何であったかについて,意識をしていくということです。国際機関に入ることだけを目的とせず,国際機関に入ることで何ができるかということについても考えていくということです。こういったことも考えてしっかりとした思いをもっていれば,実際に国際機関職員となって仕事で難しい局面に立つことになっても,最初の思いを振り返ることで,自分を奮い立たせることができると思います。
 最近の日本人は内向きと言われていますが,私がいろんなところで日本の方々と話をする限り,熱い思いをもっている方は多いと感じています。世界を変えるくらいの意気込みをもって頑張ってください。

(アフリカの著名な歌手でグローバルヘルス大使のイボンヌ・チャカチャカ氏(右から2人目)、NGOのリザルツ・ジャパン白須事務局長(一番左)と共に,麻生副総理兼財務大臣を表敬訪問)



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