ジュネーブの国際機関で活躍する日本人職員(ラムサール条約事務局・飯塚令子さん)

令和元年8月26日

【ラムサール条約事務局・飯塚令子さん】


 

Q 現在,飯塚さんが担われている業務について教えてください。

 

  ラムサール条約事務局で,アジア・オセアニア地域上級アドバイザーとして働いています。ラムサール条約事務局では,締約国のラムサール条約遵守に係る支援として,締約国からの問い合わせやリクエストに対応するなどの業務を行っています。
 私はアジアとオセアニア地域の担当として,新しいラムサール条約湿地の登録や湿地の管理に関するアドバイスの提供などを行っています。また,締約国が,締約国会議で採択された決議を履行する際の支援なども行っています。さらに,2月2日の世界湿地の日に際しては,湿地保全の重要性に関する認知の向上に係る活動なども行っています。

 

Q ラムサール条約事務局で働く魅力について教えてください。

 

 ラムサール条約事務局で働く魅力は,大きなものとして2つあります。1つ目は自然環境保全やフィールドで培ってきた経験を,政策面で活用することができるという点です。2つ目は,様々なバックグラウンドを持った人と一緒に働くことができるという点です。

(世界湿地の日に中国にて)



Q 国際機関の職員になろうと思った「きっかけ」について教えてください。

 
 最初は自分が国際機関で働けるとは思っていませんでした。元々,私は途上国の経済発展と環境保全の両立に興味があり,この分野に関わりたい,特に政策面でこの分野で何らかの仕事に携わりたいと考えていました。アメリカとボツワナのNGOで働く中で,その思いを強くしました。この思いを実現するための1つの選択肢として国際機関があると気づき,そのために必要な経験を積んでみようと思ったのがきっかけです。

Q 具体的に,どのようにして飯塚さんは国際機関の職員になられましたか。

 
 まず自分には何が足りないのかを分析するところから始めました。私の場合,現場での経験やプロジェクト・マネジメントの経験が不足してていたことを自覚しましたので,まずはその経験を積むところから始めました。
 現在のラムサール条約事務局でのポストは公募に応募しポストを獲得しましたが,私としては,これまで現場で培った経験が採用につながった大きな要因であると思っています。また,私はジュネーブ代表部で専門調査員として働いた経験もありましたが,この際に締約国側の立場から仕事をして,条約遵守に係る締約国側の活動についても理解をしていたということもプラスになったと思っています。

Q 国際機関の職員に必要なことや,飯塚さんが国際機関で働く上で心がけていることについて教えてください。

 
 国際機関で働く上で,私が特に重要と思っているのはコミュニケーション能力です。政府機関,NGO,その他様々なコミュニティに対応し,仕事をしていく場合,すべて同じアプローチで対応していくことは困難です。バックグラウンドが違う人にどのように対応していくべきか,常に考えていくことが重要です。私自身も日頃からこの点を重視して仕事をしています。

Q これから国際機関を目指す方々にメッセージをお願いします。

 
 私がインターンをしていた時の上司と,世界銀行で働いていた時の上司から受けたアドバイスを皆さんに共有したいと思います。まず1つ目は「フィールドに行き現場を見てきなさい。」ということ,2つ目は「国際機関以外での経験を積みなさい。」ということです。
 まずはフィールドに行かれることをお勧めします。そして,いろいろな機関で経験を積んで,知識の引き出しを増やすことをお勧めします。

(ラムサール登録湿地Jabal Ali Wetland Sanctuary(UAE) にて)

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