国際機関インターン体験記 国際労働機関(ILO) 小池 都司(こいけ・さとし)さん
令和4年7月5日
2022年ILO総会中の筆者
1 これまでの経歴についてお聞かせください。
大学卒業後、証券会社を経て、コンサルティング会社に入社しました。そこでは、CSR(企業の社会的責任)を推進する仕事に就き、主に国内のNPO団体や財団と協働し、日本の若者へのスキル開発に従事しました。その後、英国の大学院に留学をして移民学を学び、卒業後、2019年6月から10月までILO駐日事務所でインターンとして働きました。その翌年、アフリカの在ジンバブエ日本大使館で専門調査員として、2年間、政治・経済・経済協力の分野に携わり、その間にJPO試験に合格しました。そして、2022年1月末から国際労働機関(ILO)にJPOとして派遣され、雇用政策局でCommunication and Partnership担当として、若者雇用イニチアチブ(Global Initiative on Decent Jobs for Youth)に従事しています。
2 国際機関に関心を持ったきっかけと、ILOでインターンをすることになった経緯をお聞かせください。
大学時代に国際関係論を学んだことをきっかけに、国際機関が果たす役割について関心を抱くようになりました。また、社会人時代にCSRに携わっていた際には、若者のスキル開発や企業が果たす役割などについて、ILOをはじめとした国際機関が出していた様々な規範やガイドラインを読む機会があり、いつかはその世界に飛び込んでみたいと漠然と思うようになりました。そして、大学院も終わりのころに、ちょうどILO駐日事務所でのインターン募集を目にし、一度国際機関の業務を中で体験できる良い機会だと思い、応募に至りました。
3 インターン期間中の業務や、印象に残っていることについてお聞かせください。
私は広報とイベント運営を中心に、主に2つの業務に従事していました。
1つ目は、その年に横浜で開催されたTICAD7(アフリカ開発会議)のILOサイドイベントの業務支援です。コンセプトノートの最終化に始まり、フライヤーの作成、会場のレイアウトやタイムスケジュールの作成、スピーカーの原稿作成支援、広報活動支援、実際の運営など、サイドイベントに関する様々な業務に従事しました。ILO本部や駐日事務所、外務省等様々な関係者が関わったこのサイドイベントに、企画段階から実際の運営まで従事できたことは、ILOが自身の活動をいかにして発信していくのかを深く経験することができ、大変良い機会となりました。
2つ目は、東京オリンピックに合わせて開催された、東京2020-ILOサステイナビリティ・フォーラムの準備スピーカーの資料作成、報告資料のドラフト作成です。私にとってこの業務は、ILO190号条約(仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約)への理解を深めるきっかけとなり、同時にILOがディーセント・ワークに向けて果たす役割というものを理解する良い機会にもなりました。
1つ目は、その年に横浜で開催されたTICAD7(アフリカ開発会議)のILOサイドイベントの業務支援です。コンセプトノートの最終化に始まり、フライヤーの作成、会場のレイアウトやタイムスケジュールの作成、スピーカーの原稿作成支援、広報活動支援、実際の運営など、サイドイベントに関する様々な業務に従事しました。ILO本部や駐日事務所、外務省等様々な関係者が関わったこのサイドイベントに、企画段階から実際の運営まで従事できたことは、ILOが自身の活動をいかにして発信していくのかを深く経験することができ、大変良い機会となりました。
2つ目は、東京オリンピックに合わせて開催された、東京2020-ILOサステイナビリティ・フォーラムの準備スピーカーの資料作成、報告資料のドラフト作成です。私にとってこの業務は、ILO190号条約(仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約)への理解を深めるきっかけとなり、同時にILOがディーセント・ワークに向けて果たす役割というものを理解する良い機会にもなりました。
2019年TICAD7、ILOブース前で
4 インターン応募のプロセスはどのようなものでしたか。
ILO駐日事務所のウェブサイトで募集があり、応募をしました。最初に書類選考があり、その後、面接を受けました。後の上司となる方々複数名との日本語、英語両方での面接でした。それからしばらくして、合格通知の連絡を頂きました。
5 インターンの経験はその後のキャリアにどう生かされましたか。
今でもよく覚えているのは、当時、ILOの活動をいかに正確にかつ分かりやすく伝えるか、ツイッターの投稿1つに対して、何度も文章を推敲した経験です。インターンという立場ながら、ILOの活動を発信する身として、その活動の背景や意義などを勉強し、ILOのことをよく理解した上で情報を発信する必要があり、何時間もかけて、ようやくツイッター1つを投稿していました。この経験は、広報分野に携わっている今現在のキャリアにおいても、情報をいかに分かりやすく、読み手に訴求するか、今でも役立つ経験となっています。また同時に、広報分野に限らず、相手との交渉、パートナーシップなど、相手がいる様々な場面において、まずは「理解」が重要であることを認識するきっかけとなりました。これまで漠然と国際機関で働いてみたいと思っていた私にとって、自分の関心分野に取り組む国際機関の活動内容をもっと学ばなくてはと思うようになりました。
2022年ILO総会時、Decent Jobs for Youthブース出展時の様子(一番右が筆者)
6 国際機関での勤務やインターンを考えている皆さんへのメッセージ・アドバイスをお願いします。
国際機関での勤務を考えている方は、是非一度インターンとして入ってみることをお勧めします。それは、仕事の内容を中から知ることができるという点だけでなく、国際機関でのキャリアの築き方を目にすることができるからです。時折、国際機関志望の方から自分のこれまで積み上げてきたキャリアを手放して国際機関でやっていけるのかどうか不安である、という声を聞きます。転職時代と言われる今の日本でも、保証のない国際機関のキャリアを目指すのはリスクに思われる方が多くいらっしゃるかと思います。その不安を払拭するには、実際に職員の方の働き方を知ったり、キャリアのロールモデルを探すのが一番だと思います。私もインターンを通じて、国際機関で働くことへの自分なりの考え方を見出し、またロールモデルに出会ったことが、JPOに応募する活力にもなりました。もちろん、インターンに限らず、JPOの方や国際機関の諸先輩方からお話を聞くのも良いと思います。まずは、関心のある組織への「理解」を深めることが一番だと思います。