第7回人権理事会特別会合:北島大使ステートメント 「食糧の価格上昇等に伴う世界食糧危機の悪化が食糧の権利享受に及ぼす負の影響」 (5月22日、於:ジュネーブ)
我が国は、すべての人は安全で栄養価のある食料を得る権利、つまり十分な食料を確保し、飢餓から免れる基本的な人権を有しているという考え方の下、国連人権理事会や国連総会で毎年採択されている「食糧の権利」決議案に対しては、すべての人々に対する基本的人権の保護に資するものとして従来より共同提案国として参加してきた。
いまや食料価格の高騰は、差し迫った深刻な世界的課題であり、飢餓や栄養失調の脅威が増大し、社会不安が生じるとともに、人権への影響も懸念され、国際社会として早急に取り組まなければならない喫緊の課題である。食糧自給率が約4割しかない我が国でも、世界の食料価格の上昇は日本国内の食料価格の上昇や一部の食品の品不足を招くなど、日本の国民生活にも影響を与え始めており、この問題の大きさを強く認識している。
我が国は先月18日、福田総理より、G8議長として本件を北海道洞爺湖サミットで取り上げる意思を表明すると共に、G8サミットに向けて国連及び世界銀行に貢献を求める旨の書簡をバン国連事務総長及びゼーリック世界銀行総裁宛て発出している。
また、我が国はこの問題の緊急性を踏まえ、来週横浜で開催されるTICADIVをはじめ、既に予定されている国際会議の場を活用し、本件問題に積極的に取り組んでいく考えである。
このように深刻化する国際的な食料価格高騰問題に対応する国際協力の一環として、我が国は、約1億ドルの緊急食糧援助を今年7月までに実施することを発表し、うち約5千万ドルを既にWFPに拠出済みである。また、貧困農民に対する食料増産支援として、今年既に実施済みの約10百万ドルに加え、さらに約50百万ドルを支援する。
中・長期的には、食糧増産、農業生産性向上やバイオ燃料といった課題について、気候変動に対する適応の問題を考慮しつつ、対策の検討を加速することが必要である。なお、バイオ燃料の推進については、地球温暖化への対策と食糧の権利との両立を念頭に置いて議論がなされるべきである。(了) |