第63回WHO総会における長浜厚生労働副大臣政府代表演説(平成22年5月18日)

2010/5/18

第63回WHO総会における長浜厚生労働副大臣政府代表演説

 

1 議長、チャン事務局長、代表各位並びにご列席の皆様、
 日本政府を代表して、世界の保健衛生問題に対するWHO及びチャン事務局長のリーダーシップに大きな賞賛をおくります。

 

2 ハイチの大地震をはじめ最近の自然災害により、多数の方が命を落とされたことに、心よりお見舞いを申し上げます。我が国も、WHOがハイチなどの人道支援に果たしている役割を高く評価しており、その取り組みを支援しています。

 

3 新型インフルエンザは、健康安全保障上の重大な脅威であります。この1年間、WHO及びわれわれWHO加盟国は、これまでの備えを最大限に活かして、全力でH1N1新型インフルエンザ対策にあたってきました。我が国では、サーベイランスの強化、学校・施設等における感染防止対策の徹底、地域での適切な医療サービスの提供などを行ってきました。日本では、人口10万人あたりの死亡率が0.15と、他の国に比べて低い水準にとどまっています。また、我が国は、WHOによるH1N1新型インフルエンザワクチンに対する支援を含め、途上国の新型インフルエンザ対策に積極的に貢献しています。今後は、WHO及び各国が今回の経験を十分に検証し、その教訓を取り入れた将来への備えを進めるとともに、IHR(国際保健規則)の機能強化や国際協力の推進が不可欠です。

 

4  議長、
 ミレニアム開発目標(MDGs)の達成期限まであと5年です。鳩山内閣は、「いのちを守る」ことを政策の柱としており、我が国は、乳幼児や妊産婦の死亡率減少のため、我が国の知見を生かしつつ、開発途上国における母子保健対策及び感染症対策を引き続き重点的に支援して参ります。我々は、母子保健の向上のためには、保健人材の育成をはじめとする保健システムの強化が不可欠であるとともに、安全な水・衛生・教育など、他分野との協調も必要と考えます。

 

5 感染症対策では、三大感染症対策や予防接種の普及等の取り組みを持続することに加え、多剤耐性結核やポリオの拡散といった新たな動向にも警戒しなければなりません。ポリオ根絶に向け、発生国とパートナーが一致団結し、強い政治的意志をもって取り組むことが必要です。

 

6 非感染症に対する対策も重要な課題です。我が国では、新政権下で、たばこの価格の引上げを行いました。今月31日には、世界禁煙デーWHOイベントが、初めて我が国で行われる予定です。また、日本の神戸にあるWHO健康開発総合センター主導による、健康都市をテーマとする本年の世界保健デーキャンペーンにも積極的に関与しており、11月に神戸で開かれる「都市化と健康に関する世界フォーラム」に期待しています。

 

7 議長、
 今日、国際社会が直面する保健課題は一層複雑なものになってきています。WHOが保健衛生分野の指導的専門機関として、国際社会に十分貢献するためには、WHOの比較優位を持つ業務にリソースを集中するとともに、その運営を一層効率的かつ効果的に行うことが不可欠です。我が国としても、WHOの活動がより有意義なものとなるよう、協力を強化して参りたいと思います。


ご静聴ありがとうございました。